その他農産加工品
本ページでは、農産に分類される伝統食のうち、穀類、豆類加工品、漬物、醤油、味噌、その他調味料の分類に含めることができなかった品を「その他農産加工品」として一部抜粋し概要を紹介する。
特徴、種類
<こんにゃく>
こんにゃくは、こんにゃくいもからつくる伝統食である。医薬品として中国から伝来し、その後食用となったと伝わる。製法はさまざまなものが存在するが、こんにゃくいもを下処理し、磨砕、乾燥させるなどの下処理を行ってこんにゃく粉をつくり、水や凝固剤を加え、型に入れ固め、殺菌を目的に加熱処理をしてつくられる。
こんにゃくいもの収穫量は9割以上を群馬県が占め(農林水産省「農林水産統計」令和3年度)、今もさまざまな活用方法が継承されている。板こんにゃく、しらたき、糸こんにゃくなどである。また、日本各地にはこんにゃくを用いた郷土食が根付いている。山形県の玉こんにゃく、茨城県の凍(し)みこんにゃく、滋賀県の赤こんにゃく煮、香川県のこんにゃくのはちはいなどである。
昨今は国内外での需要拡大を目的に、こんにゃくを原料とした麺類、こんにゃく麺の開発が行われている。特にアジア圏では、麺料理やサラダに使用されているという。
<おかず味噌>
日本各地には、その土地の食材を生かした風味豊かなおかず味噌が継承されている。おかず味噌とは、味噌と農産品を調合し、発酵させた伝統食である。ごはんのお供や酒肴として、また、家庭料理の調味料としても使える魅力がある。和歌山県、千葉県、静岡県などで生産される「金山寺味噌」などが存在する。
<乾燥野菜・乾燥果実・乾燥きのこ類>
日本の伝統的な農産品には、乾燥させることで保存性を高めた食品が多く存在する。貴重な食材を保存食として貯蔵し、食料が不足した際に活用するためである。製造方法は、その土地ならではの自然環境や地域食材を活用し、工夫が重ねられてきた。冷蔵、冷凍技術が発達する前の生活の知恵と言える。
また、野菜や果実、きのこ類は乾燥させることでうま味が凝縮され、風味も豊かになる。食感の変化も楽しめる。
<でんぷん加工品>
でんぷんは、植物が光合成を行うことでつくりだされる。米、小麦、とうもろこし、ばれいしょ等の種子や根、茎に蓄えられたでんぷんを用いてさまざまな伝統食がつくられている。でんぷん由来の食品には、片栗粉、ういろうなどがあげられる。
<食用花>
花を食用とする食文化は、奈良時代以降、日本にもたらされたと言われている。茶として飲用されたり、酢の物やおひたしに調理する食文化が今も伝えられている。例えば秋田県には在来菊から選抜され食用となった「湯沢菊」の郷土料理、山形県には食用菊「もってのほか」のおひたしが有名である。千葉県の千倉では花の里として、さまざまな食用花が栽培されている。
現在は、人為的な選択による配合が重ねられたりと品種改良が進み、苦みや渋み、食感に改良が加えられたものも出回っている。